DeNAファウンダー 南場智子氏インタビュー 「不格好だけど経営はおもしろい」

ビジネス・ブレークスルーは、2013年9月21日(土)、ベルサール飯田橋ファーストにて、DeNAファウンダーの南場智子氏をゲストに招き、話題の著書「不格好経営」に関するインタビューの公開収録を行いました。ここで収録されたものは、ビジネス・ブレークスルーが運営する「スカパー!」のビジネス専門チャンネルBusiness Breakthrough Chにて、第一線で活躍している経営者へのインタビューをメインコンテンツとする番組「経営者ライブ」内コンテンツとして、10月26日20:00~放映予定です。

当日は、南場氏とマッキンゼーで同時期を過ごした、ビジネス・ブレークスルー大学大学院教授の門永宗之助がインタビュアーを務め、南場氏の経営者観、人材や組織に対する考え方、DeNAが目指す方向などをうかがいました。インタビューは、過去のエピソードなどを交えながら和やかな雰囲気で行われ、南場氏のユニークな一面が垣間見られる場面もありました。
最後に設けられた質問タイムでは、会場に集まった200名以上の受講生・修了性の方々からたくさんの意見が寄せられ、非常に有意義な時間となりました。

南場氏コメント抜粋

・目標にむかってできることは全部やる。目標を達成したときだけでなく、目標に向かっているときの高揚感がたまらない
・決定は早く、決めたら振り返らない。
・サービスやプロダクトを通じてユーザーさんに喜んでもらいたい。そして、世界のてっぺんを目指し続けたい。

南場氏はどんな人?(門永コメントより)

・南場氏はお茶目な人。クリスマスの日にも仕事をしていて、館内放送でクリスマスソングを歌って怒られたこともある。
・仕事はいつも真正面からの直球勝負。問題に対する抜本的な解決策を考え実行する人。
・あきらめず、できるまでやる人。できるまでやるのだから、必ず成功させているということもできる。
・良い仲間に恵まれている人。何度も絶対絶命になるが、必ず良い仲間に恵まれて危機を乗り越えている。経営者としてはうらやましい。

南場氏の経営者観(南場氏コメントより)

・経営者として意識していたわけではないが、振り返るとその時その時の目標にむかってできることは全部やるだけやってきた。経営は難しいし、甘いものではない。ただ、目標を達成したときの高揚感とか目標に向かっているときの高揚感がたまらない。
・決定は早く。決めたら振り返らない。決定は早い方が勝率があがる。途中で振り返ると実行中に迷いが生じてしまうので、振り返らないようにしている。できるまであきらめない。
・自身がサービスの提供者になったことで、コンサルタントで外から見ているときにはわからなかったものが見えてくるようになった。ユーザーさんに向かう姿勢が会社にとって一番大切なことだと思っている。そういう姿勢を社員にも示すようにしている。また、自らが経営者となることで、キャッシュに対する感覚ができてきた。一からお金を集めることの大変さがよくわかった。

DeNAについて(南場氏コメントより)

・DeNAはすがすがしいチーム。自分の評価や成功の帰属、アイデアの帰属ではなく、目標の達成に向けて何がいいのか、そのために自分に何ができるか、チームは何ができるか、ばかりを皆考えている。家庭の事情で少し離れて客観的にチームを見る機会があったが、少し距離をおいて見たらさらにチームを好きになれることに気づいた。おだやかな気持ちで中長期的に会社を見ることができるようになった。
・DeNAはインターネットサービスを次から次へと作り出して、ユーザーさんに喜んでもらいたいという集団。そのことをサービスやプロダクトを通じてユーザーさんにわかってもらえる会社になりたい。これからは世界のてっぺんを目指したい。そういう会社が日本から生まれることで日本への恩返しになるのではないかと思っている。これからもチャレンジを続けていきたい。

質疑応答

Q.世界で一番になるための戦略はあるか?
明確な戦略が描けているわけではないが、インターネット会社としてポジティブな影響を与え続けたいと思っている。

Q.売り上げ目標と社員のモチベーションのバランスに関する考え方は?
A.数字は究極の目的ではない。定期的に振り返るときの通信簿的な指標として利益を見る、という感覚でいる。安易な営利主義批判には与せず、利益はあくまで通信簿であり良い活動の原資となって事業を継続させてくれると考えているので、そういう意味で数字には厳しい会社であると言える。チームごとに数字を見据えて妥協しない姿勢を貫いているが、数字は目的ではなくあくまで指標でしかない。

Q.マッキンゼーでは仕事を辞めたいという気持ちから仕事が楽しいという気持ちへの変化があったとのことだが、具体的にはどう変わったのか?
A.「自分のバリューを出すこと」を考えすぎて最初は肩に力が入っていたが、転職が視野に入った最後のPJでは肩の力を抜くことができるようになった。「自分のバリューを出すこと」から、「PJの成功」に目的が変わった。難しい言葉も使わなかったし、周囲に簡単に助けを求められるようになった。そうしたらうまくいくようになった。だから、自意識の強い人、真面目な人が行き詰っているときは、そんなことが原因かな、と思って助けようと思う。

Q.新しいサービスを出し続けるための、社内での決定プロセスは?
A.誰でも経営会議に出ていいことになっていて、新規事業の提案は誰でもできるようにしている。アイデアを自由に話し合える場も現場から生まれている。また、新規事業を立ち上げることを目的としたチームを作ることもある。 実施の決定は、①勝ったときに、十分でかいか?②勝てるか?③やりたくてたまらないと目が輝いているやつがいるか、の3つを重視する。

Q.「人ではなく事に向かう」組織づくりとは?
DeNAでは「仕事の話に終始する」ことを心がけていた。プロセスにおいて人の評価はしないこと、何か意見があるときは直言(直接本人に言う)するようにさせている。