2007年1月22日号 |
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| IT・デジタル関係をテーマにした「大前研一のIT時評」が夕刊フジで毎月第四月曜日に掲載されております。 |
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テーマ1:「iPhone」日本でのヒットは疑問
米アップルは、iPodと携帯電話の複合機「iPhone」を6月に米国で発売する。一方、この発表を受け、シスコシステムズは「iPhoneの名称は自社の登録商標を侵害している」として提訴した。 |
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iPhoneはタッチパネル式で、インターネットやメール、電話のほかに、iPodの音楽プレーヤー機能も使える、というものです。
ただ、こうした機能のほとんどは、日本や韓国の携帯電話でもすでに実現しています。そんななかで、いかにもアップルらしいのはiPhoneというネーミングでしょう。アップルのスティーブ・ジョブズCEOも得意げでしたが、そこにシスコが「待った」をかけたわけです。
なぜ、シスコとの話し合いがまとまらないうちにiPhoneを発表したのか不思議ですね。
携帯電話など民生機事業への参入はシスコの長年の夢ですから、今回の商標侵害にはシスコのジョン・チェンバースCEOもそうとう怒っていることでしょう。
しかし、私はiPhoneが携帯電話業界に与える影響は少ないと思います。たとえば日本では、auの着メロや着うたが立場を確立しています。そのうえで日本の携帯業界はおサイフケータイなどに力を入れています。電池の問題もあり、音楽を聴き過ぎたらバッテリーがあがり、肝心の電話ができなくなる、スイカの支払いもできない、などの心配も出てくるでしょう。だから日本でiPhoneがどれだけ受け入れられるかは疑問です。
米国ではヒットするかもしれませんが、日本ではおそらく、多くの人がiPodと携帯電話を使い分けるのではないでしょうか。実は私も、20数年前にファクスと複写機、プリンターを複合させるアイデアを提唱したことがありますが、長い間これら3つは別々に売れていました。ようやく最近、複合機が出てきましたが、いまはもうファクスは必要ない時代になっています。複合させても、うまくいかない場合もあるということです。 |
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テーマ2:ケータイ市場シェアは動かない
2006年の携帯電話純増数で、KDDIがNTTドコモを抜いて2年ぶりに首位になった。 |
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実は、番号ポータビリティー(MNP)実施の後でもドコモやソフトバンクは純増しています。KDDIも純増していますが、伸び具合は前2社よりも鈍化しています。つまり、MNPで大騒ぎした結果、3社とも純増したわけです。
2台目を買った人や、老人や子供たちなど初めて買う人が増えたためでしょうが、携帯電話契約数はすでに9000万台まで来ていますから、これ以上増やそうと思ったら犬にでも持たせるしかないですね。
また、今回のMNPではっきりしたことは、従来から経営戦略では常識となっていたこと、すなわち「成熟市場では市場シェアは動かない」ということです。ソフトバンクの孫正義社長はこのへんをもしかしたら甘く見ていたのかもしれませんね。 |
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テーマ3:今でも「PS2」が売れている皮肉
任天堂の2007年3月期の連結経常利益は前期比31%増の2100億円になる見通しだ。 |
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任天堂はもともと高業績の会社ですが、とくにニンテンドーDS関連のハード、ソフトが昨年伸びました。ソフトメーカー別の販売シェアでも任天堂が圧勝です。
連結業績予想では売上高が9000億円で、利益も非常に高い。さらにキャッシュを豊富に持っています。ここにWiiの売り上げが重なると、今年はさらに大幅改善、ということになりますね。
ところで、ライバルのソニーはどうなっているのか? 先日のビジネスウイーク誌に面白い記事が載っていました。「GOLDEN OLDIE OF GAMING」というタイトルで、実は今もPS3ではなくPS2のほうが売れている、という内容です。
実際、最近のテレビCMを見ても、PS3ではなくPS2のCMのほうが多いですよね。結局、ほとんど出回っていない製品(PS3)よりも、世界で1億台普及しているPS2用のソフトを宣伝するほうがいいというわけです。これほどの皮肉はないですね。 |
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テーマ4:有機EL、SEDテレビは「むなしい努力」か
ソニーは全米家電見本市(CES)で27インチまで大型化した超薄型の有機ELテレビを発表した。また、キヤノンは東芝と量産を計画していた次世代薄型テレビ「SED」の計画を白紙に戻し、単独生産すると発表した。 |
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有機ELはバックライト不要で消費電力が少ないため、バッテリーで動く小型機器のディスプレー用として開発されたものです。
今回発表された27インチのテレビは解像度がかなり高いと言われていますが、家庭内ではコンセントから電源がとれますので、消費電力はあまり関係ありません。したがって、この製品は「むなしい努力」という感じがしますね。また、価格的に今の激烈な液晶・プラズマ戦線に参入するのは厳しいでしょう。
もっと厳しいのはキヤノンです。特許の使用権を与えられていたのはキヤノンだから東芝との合弁で生産するなら東芝も特許料を払え、と米社にごねられ、この紛争を解決するため、東芝が合弁会社から撤退し、両社が別々にSED事業を追求することになりました。特許料もそうとう取られるでしょうから、そんな状態で今から生産を始めても死闘の続くプラズマや液晶に対抗できるのか、大変疑問です。リビングルームへの進出、というのはキヤノンの長年の夢でしょうが、すんなりとはドアが開かないようです。 |
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