【失敗から何をどう学ぶか?】
失敗百選 ~41の原因から未来の失敗を予測する~
(中尾 政之 氏)

【失敗から何をどう学ぶか?】失敗百選 ~41の原因から未来の失敗を予測する~(中尾 政之 氏)

今から10年くらい前になるかと思いますが、「失敗学」が注目を浴びていたことをご記憶の方はいらっしゃいますでしょうか?

提唱者は「失敗学のすすめ」の著者である畑村洋太郎 氏。

失敗に学び、同じ愚を繰り返さないためにはどのようにすればいいか考え、そして、得られた知見を社会に広めることで類似の失敗が特定の組織以外でも起きることがないようにすることがその目的です。

当時に比べると最近では「失敗学」という言葉自体を聞く機会が少なくなってきているようにも思えますが、避けられる失敗を予防することはいつの時代も物事を進めていく上で不可欠なことではないでしょうか。

ただ、人は自分が置かれた状況は特殊であると思い込むもの。事例に触れたときに、

「自分の場合は特殊だから、このケースはまったく参考にならない。」
「自分は大丈夫だよ。」

などと皆様も思われたことがあるのではないでしょうか。

「人は誰でも同じような失敗をする」と指摘するのは、今回ご紹介する書籍の著者。失敗事例を研究して41の原因に分類することで、失敗を予防に活かす方法を書籍の中で紹介しています。

著者は工学の教授をされていて、本著もエンジニアの方(もしくはエンジニアを目指されている方)を対象に書かれているため、工学に関わる専門用語や失敗事例も多く出てきますが、「失敗を活かすための考え方」や「コミュニケーション不足など組織的原因による失敗事例」などは工学の専門外の方であってもとても参考になるのではないでしょうか。

著者は失敗事例を活かして個々の状況に展開するために、以下のことが大切だとしています。要点をまとめて、その一部をご紹介します。

上下の階層を思考的に“昇降運動”すること

◆データにおける概念の階層
-下位概念:個別で属人的、体験的で特殊な課題と解
-上位概念:一般的・抽象的・体系的・反復的・共通的な課題と解
————

個の直面する課題に対する解が見当たらないときは、

-自分が直面する課題は「つまり」○○ということだ。
-類似事例の情報を見ると、自分のケースでは「たとえば」△△ということが言えそうである。

上位概念と下位概念を行き来しながら「類似のシナリオ(事象・原因・対策)群から共通点を見つける」ことが著者の経験上最も有効だと思われる。

そして、共通要素について皆で議論をすることで水平展開でき、濃縮した知識としても脳に刷り込まれ、失敗予測に対する感度が高くなる。(つまり、何か事象を見たときに「あ、あのケースに似ていて危ないな」と勘が働きやすくなる。)

これは工学に限らず、どのような分野においても有効な考え方なのではないでしょうか。「失敗は成功のもと」、得られるものが本当に多くあります。

著者が培ってきた知見を参考にしながら、日々の仕事でも活かしていきたいですね。

本著には具体的な失敗事例が原因別に詳しく紹介されています。また、巻末には著者が勧める失敗知識を効率的に学ぶための参考文献も30冊以上紹介されていますので、ご興味をお持ちの方はぜひ手に取ってみてください

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