【ストレスは有害か?】
スタンフォードのストレスを力に変える教科書(ケリー・マクゴニガル 氏)

【ストレスは有害か?】スタンフォードのストレスを力に変える教科書(ケリー・マクゴニガル 氏)
【Bond-BBT MBAメールマガジン ブックレビュー・ランキング2015 第7位】

「ストレスは有害である。」

皆様もこのような話をお聞きになられたことはないでしょうか。ストレスが原因になって健康を壊す、仕事のパフォーマンスが落ちる…。だから、ストレスは極力避けましょうというものです。

何かとネガティブなイメージがつきまとうストレスですが、実は近年、その“ポジティブな面”を解明する研究が心理学の分野で発表されています。

その最新の知見をわかりやすく紹介しているのが、健康心理学の分野でも有名な著者。皆様もTEDや、日本でもベストセラーになった「スタンフォードの自分を変える教室」でご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本著のテーマは、ストレスを見直してそれを己の力に変えていくというもの。本当にそのようなことができるのかと疑問に思われる方も多いかもしれません。どのようにしてストレスを力に変えていくのでしょうか?

端的に申し上げると、すべては思い込みの産物であると、著者は数々の研究結果をもとに指摘しています。思い込み(マインドセット)次第で、ストレスは害をなすものから成長と健康を促すものに変わるというのです。

具体的に見てみましょう。

ストレスに対する“ネガティブなマインドセット”と“ポジティブなマインドセット”

◆マインドセット1「ストレスは害になる」
・ストレスがあると、健康や活力が損なわれる。
・ストレスがあると、パフォーマンスや生産性が低下する。
・ストレスがあると、学習や成長が妨げられる。
・ストレスは悪影響をもたらすため、できるだけ避けるべきだ。

◆マインドセット2「ストレスは役に立つ」
・ストレスがあったほうが、パフォーマンスや生産性が向上する。
・ストレスがあったほうが、健康や活力の向上に役立つ。
・ストレスがあったほうが、学習や成長に役立つ。
・ストレスにはよい効果があるため、利用すべきだ。

後者のマインドセットをもっている人の方が、前者の人よりも健康面やパフォーマンス等において良い結果になりやすいとする研究結果・調査結果が出ています。

ただ、ネガティブな考えをすべて綺麗になくすことができるのでしょうか?
あるいはポジティブな考え方のみをしていれば問題ないのでしょうか?

著者は、クラム氏という研究者との対話や研究をひきあいに出しながら決してそうではないと述べています。以下に引用をしてみましょう。

ストレスに対していかに向き合うか

彼女の考えでは、ストレスについてもっとも役に立つ考え方は、フレキシブルな考え方であって、白か黒かの両極端な考え方ではない、というのです。

つまり、ストレスのよい面も悪い面もきちんと認識したうえで、あえてよい面を見つめること。そして、自分がつらい思いをしているのを認めたうえで、そのストレスのせいでかえって、大切なものとの結びつきが強まっているのだ、と意識することです。

(中略)

マインドセット・シフト(考え方の転換)の効果は、ストレスのよい面に気づき始めるとすぐに表れます。

(中略)

わたしが思うにもっとも重要なポイントは、ストレスのよい面を見つめるためであれ、「ストレスは場合によっては害になる」という認識を捨てる必要はない、ということです。

本当の意味で重要なマインドセット・シフトは、ストレスについてもっとバランスの取れた考え方ができるようになることです。

そうすればストレスに対する恐怖が減り、対処できる自信が湧いてきます。

ストレスを力に変えるための第一歩は、「バランスのとれた認知」ということです。ストレスに限ったことではないですが、何事もよい面・悪い面を見た上で判断した方がより冷静に、的確に対処することができると言えるのではないでしょうか。

一度、ご自身のストレスに対するマインドセットを、これを期に見直してみるとよろしいかもしれませんね。

他にも、ストレスを力に変えるための方法などが本著では紹介されています。ご興味がございましたらぜひ一度、本著を手に取ってみてください。

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