自分のこれからは、自分で創る~キャリアデザイン【女性のキャリアを考える。第12回】

自分のこれからは、自分で創る~キャリアデザイン【女性のキャリアを考える。第12回】
女性ならではの視点で「キャリア」にフォーカスしてきた藤野祐美さんの連載も今回が最終回です。

藤野さんは、当プログラム修了後に起業された株式会社Y’sオーダーで、組織開発・人材開発を手掛けていらっしゃいます。
キャリアコンサルタントの知見も織り交ぜながら、ときに優しく、ときに厳しく、様々なことをご教示いただきました。
通して読んでみると、自分のキャリアは自分自身が創るものであるということに、あらためて気づかされます。

「困難」だと思うことに直面したときに、どんな心構えで、どんなスキルがあったら乗り越えられるのか。乗り越えられそうか。
何かを始めるのに遅すぎるということはありません。

ぜひ、自分自身を振り返ってみる機会にしていただければ幸いです!

時代の変化が問いかけるキャリア

これまで1年間に渡って連載させていただいた「これからの女性のキャリアの磨き方」も、今回が最終回となりました。

この、わずか1年の間にも、我々を巡るビジネス環境は大きく変化を見せています。

労働力不足の懸念は、徐々に現実化し、宅配サービスの時間指定の見直しが始まったり、営業時間を短縮したりする飲食店も増えてきました。
ちょうど1年前に施行された女性活躍新法。女性管理職比率は、徐々に上がりながらも、実際には2020年までに30%という努力目標には、まだまだ道のりが長いことが明らかになってきました。その一方で、そもそも少ない女性の絶対数を上げようと、非正規社員の方々の正規社員への転換や、一般職の方の総合職への転換など、これまで望んでもチャンスが得られなかった方々に、チャレンジの裾野が広がりました。

これまで当たり前であった長時間労働に対しても、「働き方改革」の波がやってきました。残業規制から、有給休暇取得の奨励。No残業Dayの設定や、在宅勤務、時間休の導入も珍しいことではなくなってきました。月末の金曜日には早帰りをする「プレミアムフライデー」までもが推奨されるようになりました。

とはいえ、これまでに比較して仕事量が減るわけではありませんから、いかに仕事の生産性を上げるかがより問われることになり、結果として仕事を見直すきっかけにもなっています。
また早帰りにより、新たな時間が生まれることで、その時間をいかに使うのか、自分の足元を見直すチャンスに恵まれた方もあったかもしれません。より多くの時間を家庭で過ごすことで、家族との関係性が変化したり、以前から興味があった趣味に本格的に取り組むようになったりしているという話なども耳にします。

外部環境の変化は、今後もより加速化していくことでしょう。生涯で何度か、予期せぬ不本意な変化に出会うことへの覚悟が必要です。環境をどう変えるかというHOWには、限界があるものの、何をして向き合うかというWHATは、いつも、私たちに与えられている選択です。先行きが不透明だからこそのキャリア自律です。

人生にタラレバはない

 「もし、あの時、こうしていたら。」残念ながら人生にタラレバはありません。今になって、別の選択肢が浮かぶのは、正に今の能力をもってこその考えです。あの時、あの立場、あの力量では、自分の選択は、間違いなく最善だったのです。つまり、自分のこれまでのキャリアを後悔する必要など全くありません。

しかしながら、なぜ、あの選択をしたのか、あの結論を出したのか。自分の意志決定の傾向や、選択基準への理解を深めていれば、それを未来に活かすことはできます。そのために、キャリアの世界では、これまでの自分を振り返るのです。

プロジェクトリーダーへの打診があった際に、断ってしまっていた自分。リーダーシップを取る自信が無かったゆえの結論でした。リーダーシップが不足していることに気づけば、これから身に付ければ良いのです。海外赴任の公募に興味がありながらも、手を上げられなかった。また同様の機会が来た際には、それを手にできるように、いまから、グローバルな視点・発想を磨けば良いのです。

平均寿命が延び、人生80年、100年といわれる時代。もはや、大学で苦労して身に付けた専門性だけでは、太刀打ちできないことも少なくありません。キャリア形成とは、先行きのすっきりした右肩上がりの一本道である必要はないのです。少し霞の掛かる中、回り道も寄り道も、そこに自分の意志が働く限り、意味のある選択です。学生→社会人という一本道から、再び学生へ戻るという選択肢が、自分のキャリア形成を強化するように。

4つの鍵とそれを機能させるもの

 第1回の連載で、女性のキャリアデザインにおける4つの鍵をお伝えしました。まずは、キャリアゴール。キャリア人生、ひいては、人生の最後に自分が出会いたい姿です。続いて、知識とスキル。それも表面的なものではなく、リーダーシップの発揮のような、ポータブルスキルといわれる、どのような仕事であろうとも活用できるスキル=力です。更には、ネットワーク。常に自分ですべてを抱え込み解決しようとするのではなく、相互信頼と尊敬で結ばれたネットワークを構築すること。特に従来の働き方では、このネットワークが社内で完結してしまいがちですが、これからは外部にもどんどん広げていくことです。職場に女性が少数ならば、社外に目を向ければ良いのです。そして、機会。これからも自分に訪れる想定内外の種々のイベントは、主体的に関われば機会に代わるのです。

最後に、これら4つの鍵を機能させるものをお伝えします。それは、主体的 かつ 継続的な自分自身のキャリア開発へのコミットメントです。自分のこれからは、自分で創るものなのですから。

講師プロフィール

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藤野 祐美 氏
株式会社Y’sオーダー 代表取締役
オーストラリア BOND大学 大学院 経営学修士課程(MBA) 修了。
ミノルタカメラ(現コニカミノルタ社)にて、産業用計測機器の販売企画、販売支援に従事の後、P&G社(米資本)での国際人事業務を経て、世界最大の水産飼料会社ニュートレコ社(オランダ資本)の日本法人立ち上げに参画。同社はじめ、関連会社2社を起ち上げ、取締役に就任。アジア太平洋地域人事統括として、組織開発、人材開発に従事。その後、2007年株式会社Y’sオーダーを設立、代表取締役就任。グローバル市場で活躍できる人材育成のための組織開発・人材開発を手掛ける。

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