【自らの“中”にコーチをもつ。】
セルフ・コーチング入門
(本間 正人 氏・松瀬 理保 氏)

【自らの“中”にコーチをもつ。】セルフ・コーチング入門(本間 正人 氏・松瀬 理保 氏)

仕事をしていると、目標を達成するまでのプロセスで問題に直面することが日常茶飯事ではないでしょうか。

自力で解決できることもあるかもしれませんが、中には一人で抱え込んでしまうと気力・体力を消耗するだけで解決することができないものもあるのではないかと思われます。

そのようなときに効果的な手法のひとつとして「コーチング」も考えられるのではないでしょうか。今回の場合は、第三者にコーチをお願いし、問いを投げかけてもらいながら自身の直面する問題に向き合い、打ち手などを考えていくというものです。

ただ、コーチングを受ける場合、コーチの予定もあるので本当に必要としている場ですぐに受けることができるとはかぎらないこと、費用がかかることなど、受けるにもハードルの高さを感じることもあるのではないでしょうか。

今回ご紹介するのは、自分の“中”にコーチをもつ「セルフ・コーチング」という手法です。「自らの自発性によって、問題を解決し、目標を達成していくための心内対話」だと著者は定義しています。

今後のための行動につながる建設的な質問を自分に投げかけ、「どうなれば望ましいか?」「どうしたらうまくいくか?」を考え、自らの行動につなげていくということです。本人が必要としているときに、費用をかけず、自分の“秘密”を他者に話さずに行うことができ、自身で直面する問題と向き合っていくうえで有効な方法のひとつとして知られています。(一方で、意識しないと目標設定が甘くなりすぎる傾向にあるなどの課題もあります。)

効果的なセルフ・コーチングを実施するためには、シンプルに表現すると、「質問を発する力」と「思案の罠から抜け出す力」という能力が二本の大黒柱となると著者は指摘しています。

「思案の罠」とは何なのでしょうか?著者は具体例を挙げながら、以下のものを紹介しています。これらが、自身の洞察を深める障害になり得るのです。

▼はまりがちな5つの「思案の罠」

1)なぜなぜ回路
自分や自分の置かれた状況に対して「なぜ、どうして」という問いを発して暗い気持ちになり、マイナス要素にばかり目がいってしまうパターン。

2)ぐちぐち回路
何か望ましくない状況があったときに、誰かのせいにして、その人を攻めるパターン。

3)心配回路
不確実性に対して不安を感じ、「このままの状態が続いたら会社はどうなるのだろう?」などと考えてしまうパターン。

4)憶測回路
正しく把握することができない他人の心の中について、当て推量や憶測をしてしまうパターン。誤解、勘違い、間違った先入観などを招きかねない。

5)散漫回路
集中力が切れて気が散り、本筋から逸れた考えに意識が飛んでしまうパターン。

この罠に陥らないように問いかけなどをすることで自身を律しながら、効果的なコーチングを行うことになります。

その際の効果的な問いのアプローチ方法について、著者は「WISDOMモデル」を提唱しています。

▼「WISDOMモデル」とは

1)Will:志を立てる
しっかり行動につなげることができるようにするために、目標達成への自身の意志を徹底的に確認することを通して、自分が取り組む「意味」を考え抜く。

2)Image:成功のイメージを描く
高いパフォーマンスを発揮するために、できるかぎり詳細に、鮮明に自分が成功しているシーンをイメージすることで強いモチベーションを得る。

3)Source:エネルギー源を探す
自分の過去の成功体験などを振り返り、達成できたこと、うまくいったことを思い起こして自分の中にある「強み」を再認識する。

4)Drive Map:成功までの地図を描く
現状を把握し、目標地点とのギャップを把握した上でどのような経路・道筋をとるのがベストかあらゆる選択肢を考え、具体的な計画に落とし込んでいく。

5)Operation:行動に移す
つい後回しにしてしまうことをなくすために、スケジュールや実施方法を具体的に落とし込み、最悪な事態も想定し、達成したい気持ちを再確認して一歩を踏み出す。

6)Maintenance:習慣化への努力
継続するためにショートゴールを設定し、目標や進捗状況をグラフなどで見える化するなど工夫を凝らす。

上記のようなものです。何もフレームもなく進めようとしてもうまく整理・行動することができない可能性がありますが、このようなフレームをもとに取り組むことで、より自身が目指すものにたどり着ける可能性が高くなるかもしれませんね。あとは練習、あるのみです。

それぞれの具体的な方法や問いの内容などもわかりやすくまとめている本著。ご興味をお持ちの方はぜひ一度手に取ってみていただければと思います。

▼本を見てみる(Amazon)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532111021/bond11-22

BOND-BBT MBA TOPへ

bond02

LEAVE A REPLY

*
*
* (公開されません)

COMMENT ON FACEBOOK

よく読まれている記事